相続詐欺

あなたは見知らぬ人から、「遠い親戚にお金持ちがいてその財産を相続できる」などというメールを受け取ったことはありませんか?あるいは親戚でなくても、あなたが大金持ちの財産を相続できるチャンスがあるという通知を受けたことはないでしょうか。

例えば以下の画像はScamDetectorに送信された英文のメールです。おそらくたくさんの人に一斉送信されているメールです。

メールの内容は次のように自己紹介から始まります。


Dearest Beloved.
親愛なるあなたへ


I know that this letter may be a very big surprise to you, I came across your email contact from my personal search and I instructed the doctor here in this hospital to help me email you and i believe that you will be honest to fulfill my final wish before I will die.

このメールを受け取ってとても驚いていると思います。私は個人的な調査によってあなたのメールアドレスを知り、医者の助けを借りて病院でメールを送信しています。私は私が死ぬ前にあなたが私の願いを真摯に受け止めてくれることを信じています。


I am Mrs. Biyu Fung Chi, From China, and I am suffering from a long time cancer of the breast. From all indication my condition is really deteriorating, and my doctors have courageously advised me that I may not live beyond 2 month; this is because the cancer has reached a critical stage.

私は、中国出身の Biyu Fung Chiといい、乳がんを患っているがん患者です。様々な検査で私の状態が日々悪化していることがわかっており、医者からは余命二ヶ月以内と宣告されています。癌は末期のステージに進行しています。


そして、話は彼女の夫やその財産に及んでいき、次のとおり、彼女が相続したという莫大な財産をあなたに相続してほしいという、「棚ぼた」な展開に話に進んでいきます。


I was married to late Dr Chi Thai, gold & diamond exportation in Burkina Faso, West Africa, where we live We were married for eleven years without a child. before he died in the year2011. But is quite unfortunately, He died after a Cardiac Arteries Operation that lasted only for four days.
私は、ブルキナファソの金屋ダイヤモンドの輸出業を営んでいたChi Thaiと結婚し、そこで彼が2011年に無くなるまで8年間暮らしていました。彼は大変残念なことに心臓の動脈施術で亡くなりました。


Since his death I decided not to re-marry, I deposited all the sum of $5.5million dollars with a Bank in Ouagadougou- Burkina Faso, where we spend our life together in Burkina Faso.

彼の死後は私は再婚はしないと決めていましたので、私はブルキナファソのワガドーグーに5.5ミリオンドルを預金しました。


Presently, this money is still in their custody, and the management just wrote me as the Legitimate beneficiary to come forward to receive the money after keeping it for so long or rather issue a letter of authorization to somebody to receive it on my behalf since I cannot come over as a result of my illness, or they get it confiscated.

現在このお金は未だ預金されていますが、銀行によれば、相続人であり正当な受領権者である私が受け取らなければ、私が病気のために受け取り不能となり、外の誰かがこれを受領するか、又は没収されてしまうということです。


Presently, I’m with my laptop in a hospital where I have been undergoing treatment, I have since lost my ability to do anything myself and my doctors have told me that I have only 2 month to live.

現在私は病院の治療を受けながらメールを打っており、もう何もできない状態です。医師は私が余命二ヶ月であると宣告しています。


Now that I am about to end the race like this without any family members and no child, It is my last wish to see that this money is invested, but you will assure me that you will take 50% of the money and give 50% to the orphanages home in your country for my heart to rest.

私には家族や子供がいない状態で人生を終えようとしていますが、私は、最後の願いとして、私の資産を孤児のために使いたいと考えています。あなたが50%を取得し、残りの50%を孤児のために使っていただくということでどうでしょう・・・


このように、5.5ミリオンドルの半分である2.75ミリオンドル、日本円に換算すれば3億円ものお金をもらえるという、とても美味しい話を持ちかけてきます。

ただし、メールの差出人は、あなたが遺産を相続するための条件を出してきます。

以下の個人方法を提供する必要があるといって条件を出してきます。具体的には、次のように、あなたに氏名、年齢、性別、国籍、居住国等の個人情報を送信するように要求してきます。

PLEASE REPLY ME AGAIN WITH THE ANSWERS TO THE QUESTIONS
BELOW FOR MY CONFIRMATION:
確認のために以下の情報を送信してください。


1.Full Name:

 氏名

2.Your age:

 年齢

3.Sex:

 性別

4.Nationality:

 国籍

5.Country of Residence:

 居住地

6.Telephone Number:

 電話番号

7.Your marital status:

 資産状況

8.Your occupation;

 資産状況

9.Send to me your picture:

 写真を送ってください

10.You have to assured me that you will act as I have instructed you if the fund get to your account.


 

念の為に申し上げておきますとこれは明らかな相続詐欺です。


この種のメールは海外ではInheritance Fraud と呼ばれる典型的な詐欺であるといえます。多くは、電子メールで、しかも英語で送付されてくるものがほとんどです。電子メールを受け取る人は、海外で仕事をする機会がある方や海外のサイトに会員登録などをして電子メールを登録したことがある人が多いようです。

メールの特徴としては、まず、とてつもなく高額の相続財産を提示してくるという特徴があります。数億円や数十億円といった通常ではまず得ることのできないお金を得られるチャンスがきたと強調することで、人の欲望を刺激してきます。

相続については、あなたの遠い親戚の誰々がどこどこで死亡したので・・・と具体的な氏名や場所を示して説明をしてくることが特徴です。弁護士の名前や裁判所の名前を使ったり、実在するロゴを使用する場合もあるようです。その内容は、大体は、あなたに千載一遇のチャンスが来た、このチャンスを逃すべきではない、というものですが、客観的にみれば荒唐無稽のストーリーであることがほとんどです。


このパターンの詐欺に引っかかる人には共通点があります。それは「社会的地位があったり、知的能力を要する仕事についている人である」という点です。


先程申し上げたとおり、基本的に相続詐欺に関しては海外からの英文メールで来ることが多いので、相当なレベルの英語力がなければ、詐欺メールの内容自体を読むことができません。

メールの内容が理解できなければ騙されようがありませんし、相続のような複雑な話題を書いた英文を読める人というのは、日本人の一般的な英語力よりも相当上のレベルなのでこの類型の詐欺のターゲットは基本的に高学歴の人であるといえるでしょう。

このような詐欺に社会的地位の高い人が騙されてしまうことについては相談を受けている側としてもとても不思議に思います。しかし、被害に遭う方のもう一つの共通点として、失礼ながら、特定の分野にはとても秀でているが、外のことには興味がなかったり全くものを知らない、という傾向があることも指摘しなければなりません。

日本では、特定の専門分野には秀でているがそれ以外の分野の知識が全くなかったり、常識的な判断力を欠く人のことを「専門馬鹿」といってからかうことがありますが、誤解を恐れずに言えば、相続詐欺のメールを真に受けて、騙されてしまう人には、このような「専門バカ」の方が、相当程度いるように思います。


おいしい話はない、ということです

架空請求・詐欺情報サイト Scam Detector Search

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